こちらはあんまり反響なかったら取り消します〜奮ってご入札頂けると嬉しいです〜
【第一部】 永遠の都より、愛と重力を込めて
序章:南船場、あかずの扉の向こう側
大阪、南船場。
御堂筋のイチョウ並木が黄金色に染まり、高級ブティックのウィンドウが華やぐこの街の片隅に、地図には載らない「聖域」がある。
雑居ビルの三階。看板はない。あるのは、重厚なマホガニー※Mahogany trees are items that are in conflict with the Washington Treaty and cannot be shipped internationally. の扉と、そこに小さく刻まれた「会員制」の文字のみ。
ここは、世界中のオークションハウス、王族のプライベートコレクション、そして歴史の闇に埋もれた宝飾品が集まる場所。年に数日、オーナーの気まぐれでしか開かない幻のブランドクラブである。
今宵、その扉が開かれたのは、一人の特別な顧客――そう、画面の前のあなたのためだ。
店内の照明は極限まで落とされている。
暗闇に目が慣れると、あなたは気づくだろう。部屋の中央、ベルベットの闇に浮かぶショーケースの中に、ひとつの「小宇宙」が鎮座していることに。
オーナーである私は、白手袋をゆっくりと引き締め、そのケースの鍵を開ける。
カチリ、という金属音が、静寂な店内に響く。それはまるで、2000年の時を超えてローマの神殿の扉が開く音のようだ。
「ようこそ。お待ちしておりました」
私は恭しく、そのブローチを取り出す。
F1299【CIBBICI】チビチ。
これはジュエリーではない。これは、凍結された「時間」であり、凝縮された「ローマ」そのものです。
第一章:19.3グラムの質量が語るもの
まず、あなたのその掌(てのひら)を出してください。
遠慮はいりません。この芸術品は、人間の肌の熱を求めているのですから。
私はあなたの掌に、そのブローチを落とす。
瞬間、あなたは息を呑むはずだ。
――重い。
19.3グラム。
数字にしてしまえば、わずかな質量に過ぎないかもしれない。しかし、あなたの皮膚が感じるその重みは、物理的な数値を遥かに凌駕している。
それは、現代の量産品が失ってしまった「無垢(Solid)」の尊厳だ。
最近のジュエリー業界は、いかに金を削り、いかに中を空洞にし、見た目だけを大きく見せるかという「詐術」に腐心している。だが、この【CIBBICI】はどうだ。
中空(ホロー)仕上げなどという小細工は一切ない。
18金ホワイトゴールドの塊。その密度。
このズシリとくる重みは、ローマ帝国が1500年かけて築き上げた栄光の重みであり、ルネサンスの巨匠たちが石に刻んだ情熱の重みであり、そして何より、これを身につけるあなた自身の「人生の重み」と釣り合うための、必然の重量なのだ。
冷やりとした金属の感触が、次第にあなたの体温と同化していく。
その時、ホワイトゴールドは単なる鉱物であることをやめ、あなたの身体の一部となる。血管の脈動に合わせて、ブローチ自体が呼吸を始めるのを感じるだろうか。
第二章:ダイヤモンド、あるいは「光の石畳」
さて、目を凝らしていただきたい。
(ここで私はルーペを取り出し、あなたの右目に当てる)
このブローチを覆い尽くす、パヴェ・セッティングされたダイヤモンドの群れを見てほしい。
これは「装飾」ではない。「舗装」だ。
かつて、「すべての道はローマに通ず」と言われた。ローマのアッピア街道、あの堅牢で美しい石畳。
このブローチの職人は、ダイヤモンドという地球上で最も硬い素材を、まるでローマの石工が玄武岩を扱うかのように、一分の隙もなく敷き詰めている。
特筆すべきは、その「爪」の処理だ。
画像6を拡大してご覧いただきたい。
ダイヤモンドを留める爪が、肉眼ではほとんど確認できないほど微細であることに気づくだろうか?
三流の職人は、石を落とすことを恐れ、無骨な爪で石の輝きを殺してしまう。
だが、この【CIBBICI】の職人は違う。「石が自らそこに留まりたがっている」かのように、最小限の接点で支えているのだ。
その結果、光は遮られることなくダイヤモンドの内部に侵入し、全反射を繰り返し、爆発的なブリリアンスとなってあなたの網膜を焼き尽くす。
特に、左端で揺れるペアシェイプ(涙型)のダイヤモンド。
これは、ローマ市内の名所「トレヴィの泉」から跳ね上がった水飛沫(しぶき)が、永遠の魔法によって結晶化した姿だ。
あなたが歩くたび、笑うたび、あるいはグラスThe page has a fragile description, and fragile items cannot be shipped by sea. They can only be shipped by air. If the goods are not fragile, they can be shipped by air. を傾けるたび、この一滴の光は不規則に揺らめく。
計算され尽くした「揺れ」の設計。
静止画である画像9においてさえ、そのダイヤモンドが今にもこぼれ落ちそうなほどの瑞々しさを放っているのが分かるだろう。これは、固定された物体に「動」の気配を与える、神業としか呼べない技巧である。
第三章:CIBBICIという「暗号」
「チビチ」
その名を耳にして、即座に反応できる人間が、日本に何人いるだろうか。
ハリー・ウィンストンやヴァンクリーフ&アーペルを知る者は多い。しかし、CIBBICIを知る者は、真にジュエリーの深淵を覗いた者だけだ。
19世紀後半、ローマ。
教皇庁の近く、石畳の路地裏で、ある一人の彫金師が槌を振るっていた。
彼の名は歴史の教科書には出てこない。しかし、当時のローマの貴族たち、そしてバチカンの高位聖職者たちは、こぞって彼の工房を訪れたという。
なぜか?
彼の作るジュエリーには、「神」が宿っていたからだ。
CIBBICIのデザイン哲学。それは徹底した「建築的アプローチ」にある。
画像7の曲線美を見てほしい。
これは、平面に描かれた絵ではない。立体として構築された建築だ。
優雅にうねるホワイトゴールドのラインは、コロッセオのアーチを描き、パンテオンのドームの稜線をなぞり、バロック建築の柱廊のように複雑に絡み合う。
アルファベットの「R」のようにも見え、「B」のようにも見える。あるいは、植物の蔦(つた)のようでもあり、守り神である蛇(セルペンティ)のようでもある。
この「定義できないフォルム」こそが、CIBBICIの真骨頂だ。
見る者の想像力を試すかのような抽象性。
それは、ローマという都市が持つ多面性そのものだ。
ある時はキリスト教の聖地として厳格に、ある時は快楽を追求する古代の都として退廃的に。
このブローチは、見る角度によって、そして見る者の心のありようによって、その表情を万華鏡のように変化させる。
第四章:裏側に潜む美学、神は細部に宿る
真の贅沢とは、他人に見せるためのものではない。自分自身が知っている「秘密」にこそある。
このブローチを裏返してみてほしい。(画像8)
感嘆のため息が漏れましたね? 無理もありません。
通常、ブローチの裏側など、誰も気にしない。コストダウンのためにのっぺりとした板にするか、適当に穴を開けるのが関の山だ。
だが、CIBBICIは違う。
裏面に施された、このハニカム(蜂の巣)状の透かし彫りを見てほしい。
これは単なる軽量化や光取りのための穴ではない。
これは、ローマのカタコンベ(地下墓地)や、サン・ピエトロ大聖堂の床モザイクに見られる、神聖幾何学模様なのだ。
肌や衣服に触れる、決して表には出ない部分。
そこにこそ、職人は己の魂を込める。
「神は細部に宿る(God is in the details)」という言葉があるが、CIBBICIにおいて神は「裏側」に宿っている。
この完璧な裏面の仕上げがあるからこそ、表側のダイヤモンドがあれほどまでに神々しく輝くのだ。
光を裏から取り込み、余すことなく表へと送り返すポンプの役割。
そして、着用した際の肌当たりの良さ。19.3グラムという重量がありながら、決して不快感を与えず、吸い付くようにフィットする装着感。
これは、人間工学などという言葉が生まれる遥か昔から、ローマの職人たちが継承してきた「着け心地の黄金比」なのだ。
(第一部 完 ・・・続く)